市民の森ながの

きのこについて その一 絹川 晴彦

秋でもないのに今なぜキノコの話かと思われる方も多いと思います。
キノコを収穫して舌鼓を打つのは秋ですが、キノコの駒うちは春なのです。
つまり米で言えば、今が田植えの時期なのです。そこで今日は春なのにキノコの話なのです。

何のために駒うちをするのか?当然の事ながらキノコを効率よく収穫して食べたいと思っているからなのですよね。ではキノコとは何ぞや???
「森林インストラクター入門」と言う本には次のように書かれています。

キノコの特徴として、先ず肉眼で気がつくことは成長が早い。 動物のように動かない。土壌や落葉や木材から発生することなどが挙げられる。しかし、これらのキノコと一般に呼んでいる部分は「子実体(しじつたい)」と言う胞子を形成する器官のことである。 栄養を摂取したりする本体の部分はカビ状で、土壌や落葉や木材の中に伸びている菌糸であり・・・・・・」。つまりキノコは繁殖期に胞子を作り散布するための専用器官なのです。

キノコの一生は、胞子→着床→発芽→菌糸成長→菌糸体→子実体(きのこ)形成→胞子散布と続くのです。 我々が目にし食べているキノコは数時間~数日間で消えてしまいますが、本体は菌糸となって生き続けているのです。キノコは目に付きやすいですが、菌糸も落葉や倒木の下を注意深く見てみると、白色や褐色に変色している部分が見えますが、これが菌糸です。 菌糸が成長をするための条件は水分と空気(酸素)と養分と温度の全てが揃うことが必要です。

水分は60%~65%で空気と養分(落葉や木材やその他)があれば5℃のルールで成長すると言われています。 (菌の種類でバラツキはありますが概ね概ね以下のようです)

 5℃・・・・菌糸の発育が開始される温度
15℃・・・・子実体の形成が始まる温度
25℃・・・・菌糸の発育最適温度
35℃・・・・菌糸の発育上限温度
45℃・・・・菌糸が死滅する温度

私達がほだ木に殖菌の駒を打ち込んだ後、上記の発育条件を維持すれば、翌年の秋にはキノコの大豊作となり、お腹満腹家庭も円満となるわけです。ここで一番気をつける事は、菌糸の生育場所であるほだ木内の湿度を65%程度に保ち、 特に夏場の乾燥を上手く乗り切ることが必須で、一度でも乾燥させると菌糸は死滅してしまうことになる。かといって、ほだ木を水の中や湿地に埋めてしまうと今度は酸欠でやはり菌糸は死滅してしまう。 秋の豊作はこの湿度を維持できそうな場所に維持できるような状態で設置することのようです。

kinoko1kinoko2