市民の森ながの

枝打ち ― 枝が噛み付く ―

2007/12/16 伊鍋 和治

枝打ちに関する知識が全くなかった頃、よそ様の枝打ちしたスギの木を見て「スゲーナー! 枝打ちってあんなに高い所までやるものか、」と感心して、 親父の植えたスギの枝を払ってやろうと思い立ち、4m2段はしごをいっぱいに伸ばし、 更に枝を頼りによじ登って、樹冠3部位の所まで一度に落として、 「よそ様に負けないぞ」とほくそ笑んでいた。

数年すると活性枝が出始め、どうして?どうして?と思っている間に、 何のために枝打ちしたか分からない程に活性枝が繁茂してしまった。

スギの枝はモロイから、木登りをしての枝打ちにはよほど注意しないと、ポキリと折れてヒヤリとさせられる。それに比べてヒノキの枝はかなり細いものでも曲がりはするが折れることはまずない。

最近は、二段伸ばし三段伸ばしの枝打ち鋸で、かなり高い所まで落とすことが出来るようになり、 枝打ちのために木登りをしなくて良くなって来た。

過日、実家のヒノキ林で、二段伸ばしの鋸で枝打ちをしていたところ、 少し太めの枝が落ちる寸前鋸に噛み付き、押しても引いても噛まれた鋸が動かなくなってしまった。

スギの枝は、2分の1位刃が進めばポキリと折れて落ちるが、少し太目のヒノキの枝は、 鋸の刃が進むと刃の角度によってはヨジレながら垂れ下り、 切り口を締め付けて鋸の動きがとれなくなってしまうことがある。 垂れ下がった枝に手も届かないと来ては万事窮してしまう。

過日もどうにも動きがとれなくなって4mハシゴを担ぎ出す羽目になったが、 切り落とされまいとしたヒノキの必死の抵抗のように思えてならなかった。