市民の森ながの
一人暮らしとはぐれ猿 ― 猿がよばい? ― 2007/8/27 伊鍋 和治
実家の隣人である一人暮らしのおばあさんの話である。
大きな体のはぐれ猿がシーズンオフ(栗や柿の実のない時季)というのに家の近くの石の上で日向ぼっこをしているのをよく見かける。 追い払うつもりで声をかけたら、「お前さんも一人かい!」というようなとても寂しそうな顔(?)をしたという。それ以来何となく親近感(?)が湧いて、姿が見えないと心配になって来るそうである。
猿に盗られるかも知れないと思いながらも10個ばかりの柿を剥いて軒先に吊るしたが、時々見かけるはぐれ猿も手を出さなかったから安心していた。 良い色になって来たから明日当たり取り込もうと思ったその夜、1つ残らずきれいに盗られてしまったそうである。
「猿もちゃんと熟すのを見計らって「よばい」に来たんだわね、味を占めたからまた来るぜ!」と冗談を言ったら「干し上がって硬くなっちまった(硬くなってしまった)やつはまずい(おいしくない)でなあ」と切り返えされて、絶句!。
その後も時々、ジャガイモを盗られた、カボチャを盗られた等と聞くから、はぐれ猿の「よばい」が続いているものと思われる。
しかし、取り込むのを忘れたばあちゃんの肌着までは盗って行かないそうである。