市民の森ながの

眠れる森 2 ―― 目覚めの森へ ――

2007/08/22 伊鍋 和治

「植生=スギ、植林後下草刈り・除伐を行わなかったため、スギが雑木に負けてしまっている。 成長の見込めないスギは伐採し針広混交林とし、動物昆虫などが生息しやすい環境を残す。」と言うのがH地区のゾーニング(整備方針)である。

平成17年7月、山姥や魔法使いの婆さんに首根っこを押さえられないように(?)、 (本心は、単独作業が多くなるから作業現場を妻に認識させておきたくて)、第1日目は妻を伴ってH地区の整備に入った。 「ええ? これがスギ林? お化け屋敷じゃない!」というのが妻の第一声であった。

先ずは作業道跡らしき道の整備からと思い、行き止まりになっているというSさんの子供さんの情報を頼りに、 邪魔をしているブッシュを切り払い、K地区(カラマツ林)の堺までトンネルのような作業道を開いた。

作業道行き止まり地点から整備にかかったが、スギも雑木も日光を求めて競争しているから、モヤシのような幹の頭に少しばかりの枝葉しか付けておらず、 中下層のブッシュも細長くかろうじて葉をつけているものや競争に負けて立ち枯れているもの寝ているもの等々で、 地面にはほとんど陽光が届かないため植生は少なく、まさしく手入れを忘れられた「眠れる森」であった。

ブッシュの根元を切り離しても、絡み合っていて素直に倒れてくれないから引き離すようにして倒さなければならず、 作業ははかどらなかった。初めは倒して放置したが、進むにしたがって放置したものが歩行を邪魔することが判り、その後は倒したものを1.5―2m位に刻んで所々に集積することにしたからますます効率が上がらなかった。 虫が木の葉を食い広げるように、少しずつ時間をかけるほか仕方がないと腹を決め、時間の許す限り通うことにした。

整備した後は地面に陽光が届き、眠っていた種々の植物が芽を噴き、木々は呼吸を復活したように体を揺すって喜びを表し、 嘘のように明るくなって行く様は、その都度やり甲斐と充実感を味合わせてくれた。

その後、メンバーの応援や市民講座の除伐実習の応援等々をいただき、 H地区内に行き止まり作業道の外に2本の作業道(いずれも旧作業道跡)も出来、 若干の手直しを残してH地区の整備は平成19年4月ひとまず終了した。

眠れる森は美女に巡り会うこともなく、山姥や魔法使いの婆さんの居場所がない程に明るく目覚め、カケスやヒヨドリが木々の間を飛ぶ姿が見られるようになり、今年はヒヨドリの営巣も見られた。 下層には雑多な植生が徐々に見られるようになり、諸動物や昆虫類が一日も早く住み着くことを願い、モヤシのような針・広葉樹が力強く枝を張り生育して行けるか見守って行きたいと思っている。

過日、妻を伴って(整備跡を見せたくて)全コースを案内したが、お化け屋敷を見ている妻はその変貌振りに驚嘆し、 「爺さんは山へしばかりに・・・」と言えば快く (?) 弁当を作ってくれている。

H-3-1 H-3-2
平成17年6月 当時 現在の「目覚めの森」日が差し込み明るくなった