市民の森ながの
眠れる森 1 ―― 鳥が飛べない ? ――
平成15年だったと思う、ある活動日に現在の「ヤッホホーの森で」昼食を取り、休憩中にSさんの子供さんが、 探検に行って来ると言って現在のH地区の方へ入って行った。しばらくしたが帰って来ないから私も行って見ようと思い、 作業道の跡らしい道をたどると、たちまち薄暗い林の左右から倒れ込んだブッシュに行く手を阻まれてた。ブッシュをかき分け跨いだり潜ったりしてしばらく進んだが、薄暗くて山姥か魔法使いの婆さんに首根っこを押さえられそうな気がして (?)、途中で引き返してしまった。この山にこんなに手入れのされていない所があったのか思い、居合わせたメンバーに聴くと誰も入ったことがないと言う。
間もなくSさんの子供さんも戻って来たが、こういう林こそ早期に手を入れる必要がありまたやり甲斐もあると思い、つい口走ってしまった。
平成16年だったと思うが、林相に応じたゾーニング(整備方針)と地区割りを行い担当者を決める段になると、 以前口走ったことが災いし、希望を聞く前に「H地区は伊鍋」と真っ先に決まってしまった。
翌17年の6月、まず現状を撮影しておこうと思いH地区に踏み込んだが、区割り堺の目印があるわけでもなし、どこからどこまでかよく分からないまま、ブッシュをかき分け押し分けここぞと思う所数箇所をポイントにして上下左右の撮影をしたが、どの写真もブッシュの入り組んだ暗いものばかりで、どこのポイントだったか分からなくなってしまった。
釣竿のようなスギ、モヤシの頭に僅かな枝葉しかつけていない広葉樹、それに枯れ枝やブッシュが入り乱れており、 地面に陽光が届かないから下層植生はなく、梢で羽音がしても鳥の姿は見えず、カケスやヒヨドリが林の中を自由に飛べない状況であった。
担当区の林分に名前(呼称)を付けようという話があった時、即座に「眠れる森」と命名しようと提唱すると、Iさんから「目覚めの森」の方が良いとのアドバイスをいただき、H地区を明るい森にしなければならないと改めて決意した。
―つづく―